君の名は希望
あぁ
名を失った君よ
名を失い
皆の偶像となった君よ
私は君への愛情を
胸に流る清い水のような愛情を
…
君は詩であるから
詩の形で応えるしかないのだ
君に恋したあの日々を
いまここから振り返り
歌うことしかできない
またそれは
長い月日を経て
私の中に固まった
欠けることを知らない石
堅苦しい批評文のように現る
真っ黒い石であるか
…
君の旋律は
暗い洞穴に響く
水滴の音
孤独のなかに響く
癒しの音
水が堅い岩肌を砕き
手鏡のような穴を開ける
暗闇に差した一筋の光が
私の輪郭をそこへ映し
初めて私は私を見た
…
そうだ!
私があるということ!
ここにあるということ!
たとえ孤独であろうとも
私はあるのだ!
こんなに感動的なことがあるか!
足元が見える!
真っ暗闇ではない!
この洞穴の最果てが見えるのだ!
幽かに君の姿が見える
手を差し出し
光へと誘う君の影
…?
君に導かれ穴を出ると
そこは崖であった
波の音が聞こえる
夕陽が燃えて落ちようとしている
後ろには穴
前には
美しくも怖ろしい景色
…?
君はどこに消えた?
私が確かめた君の影は?
希望とは
何であったか
…
真実の叫び
私が
私であることの叫び
それは醜い声であった
君は私を見た
おかげで私は私を確認した
その表情の醜さ
感動のあまり
落胆する間も無く歩いたのだ
…
君は光か
私は確かに
君の姿を見た
その透明な色
君の名前は希望だ
いま私が
君への愛を歌うなら
君の名を「希望」と歌うのだろう