倦怠の勿忘草

“汚れつちまつた悲しみは 倦怠のうちに死を夢む”

2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

無題

夜 静まるカーテンひるがえし 風が一脈吹きました 夜 鈴の音の鳴る夜に 靡く布地をカラダに絡め 息を詰ましておりました 夜 桃色靡かせ焼けた胸 すずろなる歌声に没すれば 夜 無垢なる信頼心は 恋に被さるれ 夜 強欲の罪は重なりて 罰せられたるは我が心 ー …

とケル。

二、「ミルクティー」 「そう口をぱっくり開けていると、どこやらか名も知れぬ虫が飛び込んで来ますよ?」 空を眺めてポカンとしている私に向け、先生が言った。「虫」と聞いて我に返り、私はキュッと唇を結ぶ。空は私の口から何かを抜き出して、さらに何か…

とケル。

一、「山吹色と桜色」 私はどこに来ているのか。 先生から教えてもらった「恵理」という停留所の名を頭の中で繰り返す。えり、えり、えり、えり。「駅前から乗れば370円で着く筈です」と先生は暢気に言っていた。整理券に書かれたのと同じ番号の下に「370」…