倦怠の勿忘草

“汚れつちまつた悲しみは 倦怠のうちに死を夢む”

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

とケル。

四、「山羊のツノ」 沈黙の中を、二つの影は進む。道に散らばる葉や土をざりざりと踏みしめながら、私は代わり映えのしない風景に飽きていた。とすれば足下から茶色いバッタは横へ跳ねて、先には不気味に漂うようなけもの道が続いている。突然、そこから何か…

とケル。

三、「暗夜行路」 電灯は五十メートルもの間隔を経てから、ぽつん、ぽつんと、ひとつずつ並んでいます。光は重なり合わずに、互い干渉しないような距離感でもってぼうっとしているのです。遮るものがなければ、光は間断なく綺麗な同心円を道端に落としてゆく…