四、「山羊のツノ」 沈黙の中を、二つの影は進む。道に散らばる葉や土をざりざりと踏みしめながら、私は代わり映えのしない風景に飽きていた。とすれば足下から茶色いバッタは横へ跳ねて、先には不気味に漂うようなけもの道が続いている。突然、そこから何か…
三、「暗夜行路」 電灯は五十メートルもの間隔を経てから、ぽつん、ぽつんと、ひとつずつ並んでいます。光は重なり合わずに、互い干渉しないような距離感でもってぼうっとしているのです。遮るものがなければ、光は間断なく綺麗な同心円を道端に落としてゆく…
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